【読書感想】「観察力を磨く 名画読解」

観察力を磨く 名画読解

観察力を磨く 名画読解



私の最近楽しみにしていること。それは美術展に足を運ぶこと

なぜか関心が湧いてと言いますか、色々なことがあり癒されたいと思うこと。そして普遍的な物への憧れとからか、去年から大きな美術展に足を運ぶようになりました。

 

まだまだ、美術についての知識はないものの楽しむ幅を広げるきっかけになればと思い、この本を読むことにしました。ちょうど、フェルメール展もありフェルメールの絵が題材になっていることも読むきっかけの一つでした。

 

しかし、この本はイメージをしていた美術鑑賞の本と違い、アメリカで行われている”知覚の技法”についてのセミナーを書籍化したものでした。発刊は2016年10月。著者はエイミー・E・ハーマン。”知覚の技法”のセミナーを発刊当時14年続けている方です。

 

内容は、アートを題材にして観察をすること。そこで得た事実を分析し優先順位をつけるそして伝達をすることを適切に行う方法がまとめられています。応用として、グレーエリア(通常あまり接しない状況に遭遇すること)での適切な振る舞いについての事例と解説が書かれています。

 

イメージとは違ったものの、去年1年間を通して”名探偵コナン”を通読していた(黒づくめの組織との攻防が面白い!)自分にとってはとても興味深い本でした。

 

私が関心を持つ絵画は特に登場人物や描かれている物、空間や時代背景なども読み取ることができる。これは、今までみてきた絵画の見方とは明らかに違いました。

 

今まではどう描かれているかを大切にしていたように思います。立体的に見えるのは何故か?と細部をよくみること。それは、私が描くときの参考にするかのごとく見てきました。しかし、この本では絵に描かれている内容を具体的に観察します。そして、その具体的事実を基に分類をし優先順位(これは解決したい内容に寄ることになる)を設定し然るべき相手への伝達に繋げます。

 

この一連の流れは、緊急時の対応に役立つようです。観察をすることで、何かに気が付くことは行動につながることもあります。

”事実”とは 実際の経験と観察に基づいて確かめた事柄。

                 観察力を磨く 名画読解 P.93

今の生活を鑑みてみると、やはり触れる情報は多く振り回されてしまっている。また、ある部分では一つの事柄に捉われてしまいこだわりが捨てられずにいることを痛感することもあります。それを誰かに伝えることはほぼ無いに等しいのですが、それでも納得できないことの多さに辛さを感じることもあります。

 

憶測を排除して考えることで現実的で適切な対応ができると考えること。また未来、これからを予測することに関してはまた別と捉えて考えることができるのであれば、これは筋が通っているのではないかと思います。

 

事実を素早く理解し対処を進めていくこと。問題を解決するために原因となる事実を見つけ出すこと、そのために必要な時間を取りじっくりと集中してしっかりと意識的にみること。

 

統合失調症という病気を経験することで自分自身は、事実を得るところに今までは重点を置いてきたように思います。事実が適切な判断を持たせてくれると信じていることは今も変わりません。今後はその事実を適切に伝えていくことにも重点を置いておきたい。

 

また、この本は欧米のビジネス書関連によくある科学的根拠や研究結果。そして実際の事例が多く含まれています。実際にあったテロ事件についての問題点や解決までの経緯なども含まれています。

 

医学的な根拠などを含めて、「観察」という行為を具体的に理解するにはとても良い機会になりました。