【読書感想】統合失調症が治る?治療方法の発見!

統合失調症が秘密の扉を開けるまで。

統合失調症が秘密の扉を開けるまで。



図書館でたまたま見つけたこの本。統合失調症に関しては以前自分が発症したことがあり、現在でも軽度ではあるもの幻聴が聞こえることもあります。そんな経験もあり、気になったので手にとって読んで見ました。

 

発刊は2014年3月。「精神看護」に連載されていたものベースとなっています。

大筋は、糸川先生が遺伝子研究と同時に臨床医として活動しながら出会う患者さんを症例として治療方法を導き出す。そして、治療方法を発見します。

 

医学的な部分になる、発見のきっかけやその解明についてを時系列で書かれています。

 

この中に「カルボニルストレス」という言葉が出てくるのですが、このカルボニルストレスが原因ではないか、またなぜカルボニルストレスが幻聴や幻覚に繋がるのかとなどの研究が現在も続けられているそうです。

 

この本を読んで、希望が持てました現在、100人に1人がなり得る病気の統合失調症

少しでも、もしかしたらその症状から解放される方が増えるのはとても喜ばしいことだと思います。(現在は、薬の効果か軽症化しているとも言われています。)

 

現在、この治療法はまだ国の認可が下りていないので薬を利用することはできませんが来年には認可が下りるという情報もあります。その後、薬の販売や治療に生かされる環境が整うようになるのでしょう。

 

この治療法の発見に希望は持てたとしても、やはり認可までには様々な検証や行程を経ているとはいえ長いなという印象があります。どのような経緯を経ているのか気になるところです。

 

さて、私が気になったのはこの本にある「一つの違い」。基本となる遺伝子の波形とは違った波形が幾度となく出てしまうことに違和感を感じたところから「なぜその状態になるのか?」を探りさらに似た事例を探し一つの仮説にたどり着く過程。

 

答えのないところから答えを探す時の一つのきっかけ。糸口は身近にあり、そしていつも見ているもの中にある違和感が、ヒントになることもあると。(これも最近読んだ本の影響なのでその本についても書きます。)

 

また、個人的には本当に一切今まで関わりあることがなかった医学的な知識にもやはり少し緊張を覚えました。「メイラード反応」そして、これも聞きなれない「前期反応」「後期反応」など。

 

焙煎コーヒーなどの着色などもこの反応が影響しているそうで、体の中で同様の反応が起こっていることは考えもしなかったです。それがそのまま当たり前で考えることもなく生活をしていることも改めて実感しました。

 

この本は117ページと比較的薄い本ですが、馴染みのない知識に触れることやある考えに至った経緯、そして考えが一つ実るまでがまとまっているので統合失調症に関心があるだけでなく、どんな分野の人も一読してみると良いのではと思ってしまいました。(それほど時間はかかりません。)

 

あとは、個人的な認識の間違いですが統合失調症と言っても一括りではないということ。様々な要因が関係して幻聴や幻覚などの症状が出るもののその要因が一つではないため対処となる薬の処方が変化する。

 

きちんとした検査。原因を発見することができる詳細な情報(自分に今起こっていること)さらに診察を経てはじめて、原因にアプローチできる処方がされるのだろうと今は思います。

 

私は、病気であることを周囲に悟られたくはなかったので話すことはもちろん一人でいられる空間を探していました。できるだけ人目を避けて生活をするなどしていたこともあります。病院でも実際の症状を詳しく話したことは一度もありません。

 

今現時点で考えるのはこれは間違いなく誤った判断だったと断言できます。基本的に信頼の置ける病院で診察・検査を受けることができるのであればそれを第一に。

その後は、家族とまた信頼できる人と話をして病気に立ち向かって行くことになると思います。

私は、自分の甘えで発症したのではないかと思っています。その当時の生活を振り返っても後悔するようなことしかありませんでした。何をしていても情けなく感じるようなことが続いた生活をしていました。その後の生活も病気が重なりさらにひどかったように思います。

何事にも現実的に取り組んで行くことができずにもがいていました。何も達成することができないまま時間が立っていくことに辛く苦しかったのを覚えています。

まだ、その当時のことを思い出すのも辛いので具体的には書けません。私自身の辛い経験は私だけのものであり他の様々な病気や事故などと闘っている方にはその方の辛さがあると思います。

遺伝子研究をはじめ、統合失調症についての研究が進んでいくことは大きな希望になり得ます。その一端を垣間みることができたことはとても良い機会でした。