【読書感想】独学の技法



独学の技法 山口周

独学の技法 山口周


2017年に発刊されている本です。

社会人になってから、書籍を読んでいてもなかなか成果につながらない状況があり、意味がないとやめていたのですが、もう一度取り組んでみようと思いこの本を手に取りました。

この本は、大きく「戦略」「インプット」「抽象化・構造化」「ストック」と4つの項目を著者の山口さんの経験などを織り交ぜながら解説をしていく本です。

 

戦略」。自分なりのテーマを持ち方向性を明確にすることが大切。

この方向性を大筋で持つことによって、何かの問いに対して情報を集めていくこと、また自分で考えて自分なりの答えを持つことになります。

 

この本の中では、テーマは自分の仕事や関心から導くことを、またジャンル『歴史」「心理学」などのについてはそのテーマを元に自分が持っているものを基準に考えると決まりやすいと書かれています。

 

インプット」。テーマに対しての示唆を得られる良質な物を選ぶことが重要で、その中で必要のない情報を判断することも大切な作業になります。それは限られた時間の中で質の良い書籍を読むことから「示唆」を抽出することに繋がります。

 

※示唆・・・それとなく物事を示し教えること。

      「 -を与える」 「 -に富む話」     三省堂 大辞林

 

また、書籍だけでなく動画や演劇などに含まれることも学びの一つになります。映画など時代背景やその中に見られる人間関係などそこから得られる示唆もあるのかもしれません。

 

抽象化・構造化」。良質言われる古典などは現在にも通じる形で抽出をしたいとなります。この本の中では歴史上のいくつか見られる「二重権力構造」を例に取り上げています。

「長く続く権力構造には、カウンターバランスが働いている。」という仮説が得られます。この仮説が抽象化をした状態。そこから自分なりの示唆を得ていきます。

 

ストック」これは、得た知識と何に対して関心をそそられたのか。そして多分野に当てはめるとどんな示唆が、または洞察があるのか。これをまとめて書いておくこと。後から検索できるようなツールをこの本では勧めています。

 

一番、わかりづらい部分である「抽象化・構造化」。これは明確な答えがあるわけでもなくいくつかの事例の中での共通点を探すことから導き出される仮説。その裏側にあることは何かと考えてみること。これも正しいと言われる答えはないと思います。直感で気づくこと、または知識をじっくりと周辺を調べることで出てくる答えもありそうです。

 

私が気になったのは2点。この本の中で、本の内容を鵜呑みにする危険性についても書かれていること。これも、世の中には様々な本があるので、全てを鵜呑みにすることが、思わぬ弊害になることは間違いありません。(私は、それで恥ずかしい思いをしたことがあります。)

 

もう1点は、独学を進めていくことで空間的(世界ではどうなのか?)や時間的(歴史的にはどうなのか?)を集めていくことで、一つの事柄について相対化が可能になることで、今後何が起こりそうなのかを見極めるきっかけになるとしています。この点も一つの目的として「テーマ」を探求していくと独学を続けていくことができそうです。

 

この本を読みながら、効果的な独学の方法を自分なりに整理できたと思います。また、注意したい点は何らかの形でストックしておきたいと考えています。